力学系数理分野
映画「ジュラシック・パーク(Jurassic Park)」に登場する数学者イアン・マルコムの「北京でバタフライ(蝶々)がはばたくとニューヨークの天気が変わる」というセリフをご存じでしょうか?これは「ほんの僅かな変化が全く異なる結果をもたらす」という,「カオス」の「初期値鋭敏性」を例えたものです。
「力学系(Dynamical System)」とは,時間とともに変化する数学モデル全般を表わし,また,それらを研究対象とする,1970年代後半に「カオス」の再発見を契機として急速に発展した数学分野です。
本研究室では,力学系理論の手法を用いて,自然科学や工学分野等に現れるさまざまなシステムで起こる,カオスや分岐等の複雑現象を解明し,新たな工学技術を創生することを目標としています。この目標のため,従来の理論に留まらず,力学系の革新的な理論の構築に挑戦しています。さらに,精度保証計算や大規模数値シミュレーション等の数値的な手法も用いて,様々な研究内容に取り組んでいます。
教員
- 教授: 矢ヶ崎 一幸
- 准教授:柴山 允瑠
- 助教: 山口 義幸
研究内容
無限次元力学系における力学系理論の展開と応用
無限自由度ハミルトン系,ネットワーク上の結合振動子系,パルス解の分岐/安定性,パターン形成
連立非線形シュレディンガー方程式におけるパルス解の分岐
さまざまな力学系における多様な分岐構造の解明
ハミルトン系(天体力学を含む),反転可能系,時間遅れ系,区分的に滑らかな系,確率力学系,量子系
古典力学の4体問題における超8の字解
非可積分性とカオスおよびそれらの関連性
微分ガロア理論,Morales-Ramis理論,Melnikovの方法
多体ハミルトン系の平衡・非平衡統計力学
運動論,安定性,非平衡相転移,線形・非線形応答,N対数値計算,分布関数の時間発展
多自由度ハミルトン系における非平衡相転移
自然科学,工学および社会科学分野への応用
データサイエンス,感染症の伝播,宇宙ロケットの軌道設計,ドローンの運動制御
地球から月へのロケットの低コスト軌道
ドローンのダイナミクス