沿革

情報学科は数理工学科と情報工学科を母体に平成7年(1995)度に設立された.

1940年代に電子計算機が誕生し,1950年代の後半に入ると,制御・通信・計算機に関する新しい学問分野とそれに伴なう新しい応用数学の進展が多くの関心を引きつけていた.このような状況の下に,科学技術の高度数理化に対処するための豊かな数学的知識を備え,工学における各専門学科の共通領域と境界分野を総合的にとらえることのできる研究者・技術者を養成することにより,専門細分化による科学技術の隘路を克服して,学問と産業の飛躍的発展を期することを目的として,昭和34年(1959)数理工学科が設立された.一方,京都大学においては1950年代の後半から計算機のハードウェアとプログラミングシステム,および計算機に知的能力を与えるための音声・画像の認識,言語情報処理などの知報処理の研究が続けられてきたが,計算機の急速な発達に伴い,それらをより広く深く系統的に教育研究することの必要性が認識されるようになった.このような背景の下に,情報科学分野に関する深い知識と視野をもつ創造力豊かな研究者,技術者の養成を目的として,昭和45年(1970)情報工学科が設立された.

われわれが対象とするシステムは近年ますます巨大化・複雑化し,工学の各専門分野が融合した形態をとるようになっている.このような趨勢に対処するためには,エネルギーや物質とならんで,現代科学技術の基盤となっている「情報」とは何かを究明すると同時に,システムを全体として横断的にとらえ,問題解決のための方法論を追求する「数理的思考」が不可欠である.この目的のために,平成6年(1994)度までは,数理工学,情報工学の2学科2専攻と,大学院工学研究科応用システム科学専攻が互いに協力しながら教育と研究を進めてきたが,平成7年(1995)度から工学部一貫教育・大学院重点化構想のもとに,数理工学科と情報工学科を情報学科として統合し,新しい理念に立って総合的な教育と研究が開始された.

年表

 昭和34年(1959年)  数理工学科設立
 昭和45年(1970年)  情報工学科設立
 平成7年(1995年)  情報学科設立