概要

現在の高度情報化社会を支える様々なシステムは,大規模かつ複雑化し,工学の各専門分野が融合した形態をとることが普通になっています。このような情勢に対処するために,現代科学技術の基盤をなしている“情報”とは何かを究明し,その役割を明らかにする必要があります。また,対象となるシステム全体を横断的にとらえ,問題解決のための手法を探究する“数理的思考”が不可欠なものとなっています。

そこで,情報学科では,グローバル化や科学技術の進展など社会の激しい変化に対応し得る幅広い知識をもった人材の育成を目指した総合的な教育と研究を行っています。特に,情報学の理論と実践とを有機的に結合し,数学と物理学を基礎として未知の問題のもつ数理的構造を解明し実際問題に応用できる能力,先端的な技術を用いた高度情報システムを設計・活用できる能力を養うことを目標に据えています。

そのため,本学科では,工学部の基礎学理の教育を十分に理解できる能力を備えることはもちろん,既成概念にとらわれず,自分自身の目でしっかり物事を確かめ理解する力を備え,新しい世界を切り拓く意欲に満ちた創造性に富む人を求めています。

そして,そのようなバイタリティーをもつ人材が,情報学に関する幅広く深い教養と総合的な判断力を身に付けることができるように,基礎から応用に至るカリキュラム体系を編成し,大学院情報学研究科(知能情報学専攻,社会情報学専攻,先端数理科学専攻,数理工学専攻,システム科学専攻,通信情報システム専攻)の教員が教育・研究を担当しています。なお,計算機科学および数理工学はその性格上,すべての学問領域とつながりを持つものですから,諸分野についての広い視野の育成を重視した講義・実験・演習・セミナーなどを提供しています。また,本学科の学生は,原則として1回生修了時点で,計算機科学コース(定員 50名)と数理工学コース(定員40名)に分かれ,専門教育を受けることになります。

数理工学コースでは,数理科学の根幹としての数学と物理学,システム工学の基本的分野である制御理論,数理的手法の応用をはかるオペレーションズリサーチなどを中心に,システム理論,最適化理論,離散数学などの諸分野の話題も加えて修得します。もちろん,これらの成果を具体的に適用するために必要となる計算機・情報・通信の授業科目も含まれています。数理工学は,工学における基礎と柔軟な発想を重視しつつ,総合的工学としての役割を担う学問ですから,その目的を達成するに必要な学力を涵養することを目指しています。

計算機科学コースでは,情報とは何かを究明することを目標に,その処理・伝達・蓄積に関し教育・研究を行います。すなわち,情報と通信の理論,計算の理論,論理回路設計,計算アルゴリズムの設計と解析,コンピュータハードウェア・ソフトウェアの構成原理と各種技法,コンピュータによる言語・音声・画像の情報処理,人工知能・知識工学,コンピュータネットワーク,情報システムとその構築法,メディア処理と各種応用など広範囲にわたる先端的技術について学修させ,情報化社会の中核となる技術者・研究者を養成します。