数理工学とは?

現代社会の工学を支える数理的アプローチ

数理工学がめざすもの

今日,私たちの身のまわりのシステムは, ますます巨大化・複雑化し,各専門分野の技術が融合した形態をとるようになっています.このようなシステムを安全かつ効率的に運用・制御していくには,システム全体の数学的構造に着目して問題解決の方法を見出す分野横断的な「数理的思考」が不可欠です.

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数理工学コースでは,数学と物理学に基礎をおき,コンピュータを援用しながら,複雑で動的に変化するシステムにおける情報の生成,変換,伝達,組織化,最適化,制御のしくみを解き明かすことにより,情報科学をも含めた工学の諸問題を解決するための方法を探求することを目指して,研究教育を行なっています.

数理工学の特徴

工学的問題を解決する過程は,「モデリング」,「解析」,「設計」の3つから構成されます.

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数理工学はこれら3つの過程の方法論を理論的に探求する学問ですが,その特徴は,個々の具体的な工学問題に対しそれぞれに固有の方法を用いるのではなく,それらに共通の構造に着目して抽象的な数学モデルに基づく問題解決のための普遍的な方法・アルゴリズムを提供することにあります.つまり,抽象的な数学モデルで表された問題に対するうまい解決方法が見出されれば,同じ数学的構造をもつ問題ならばどんなものにでもその方法を適用することができるのです.

例:“ネットワーク”

  • 具体例: 道路網, 鉄道網, インターネット, 電子回路網など
  • 共通の構造
    • 節点(node)とそれらを結ぶ辺(edge)から構成される「グラフ」としてモデル化
    • 節点:交差点,駅,PC,ルータ,半導体素子などに対応.
    • 辺: 道路,線路,通信回線,導線などに対応.
    • 交通流,データパケットや電流などは,辺を通じて節点から節点へと流れる.

抽象的なグラフに対する解析・設計の手法を作ることができれば,それらは様々な実際のネットワークへ応用することが可能となります.このようなグラフに関する研究分野は「グラフ理論」と呼ばれており,数理工学コースのカリキュラムでも講義のひとつとして扱っています.

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この例では,“グラフ”によってシステム(ネットワーク)をモデル化しましたが,場合によっては対象となるシステムを不等式や方程式(微分方程式/漸化式/代数方程式)などの数式で記述することも少なくありません.いずれにしても,数学モデルに基づいた普遍的方法を探求するという点は,数理工学のどの研究トピックにも共通の特徴です.

数理工学とコンピュータ

数理工学では,コンピュータを積極的に活用した研究教育を行なっています.すなわち,コンピュータを用いたデータ処理やシミュレーションによりシステムのモデリング・解析を行い,コンピュータで実行可能なアルゴリズムおよびコントローラの設計を行います.このように,コンピュータは数理工学の方法論を実現するための重要なツールとなっています. 情報学科のコースとして,数理工学コースではコンピュータ演習および情報科学に関しても充実したカリキュラムを提供しています.

数理工学コースの研究トピック

各研究室のホームページ,又は工学部案内(19ページ20ページ)をご覧ください.

数理工学 Q & A

数理工学に関連して,よくある質問とその回答をまとめたものです.

数理工学シンポジウム

年に数回,学部生および一般の方向けに講演を行っています.詳細はこちらをご覧下さい.