コンピュータアーキテクチャ分野

コンピュータアーキテクチャは,プロセッサやメモリなどコンピュータの基本構造を設計し,計算を効率よく実行するための原理と技術を研究する分野です.量子計算に代表されるような新原理計算を実際に動作するコンピュータとして実現するためには,新たなコンピュータアーキテクチャが必要となります.本分野では,量子コンピュータに代表される次世代計算機の設計原理の探究を通じて,革新的な計算基盤の実現を目指すとともに,量子情報科学の深化にも貢献します.

教員

  • 教授:藤井 啓祐

研究内容

1.   量子誤り訂正と誤り耐性量子コンピュータ

量子コンピュータはノイズの影響を受けやすく,そのままでは大規模な計算を安定に実行することが困難です.この課題を克服するため,本分野では量子誤り訂正符号を用いて,誤りの影響を抑えながら計算を実行する誤り耐性量子コンピュータのための理論とアーキテクチャの研究を行います.特に,量子計算に必要な計算資源(量子ビット数や時間など)の評価やボトルネックの解析を通じて,効率的な誤り耐性計算の実現に向けた指針を明らかにするとともに,デコーダーの設計・最適化など新たな手法の構築により,必要資源の削減を目指します.基礎的な数理構造の理解から,実際の量子デバイスを考慮した設計・最適化までを対象とし,大規模量子計算を実現するための基盤技術の確立を目指します.

2.   量子アルゴリズムの構築とその優位性の評価

量子コンピュータの有効性を明らかにするためには,量子アルゴリズムの設計とともに,その性能を適切に評価することが重要です.本分野では,計算量理論に基づく解析を通じて,どのような問題に対して量子計算が優位性を持ち得るかを体系的に明らかにするとともに,具体的なアルゴリズムの構築とその応用展開を行います.理論的基盤と応用的課題の双方に取り組むことで,量子計算の価値の理解と拡張を目指します.

3.   新原理計算・量子情報の学際新領域の開拓

量子情報科学は,物理学,情報科学,数学をはじめとする多様な分野が交差する学際領域であり,新たな計算原理の創出につながる可能性を有しています.本分野では,新原理計算の探求を軸として,量子計算にとどまらず広い視点から,新しい情報処理の枠組みやその基盤理論の研究を行います.また,量子リザバー計算や量子機械学習といった学際融合分野に着目し,異なる分野の知見を統合することで,新しい研究領域の形成とその発展や量子情報科学の深化に貢献することを目指します.